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炎上
新宿駅の東口は、あっという間にパニックになった。
先を急ぐ車は、急ブレーキで次々と踏んで、玉突き衝突。
歩行者たちは、その轟音に驚いて、すっ転ぶ者、泣きわめく者、多数。
だが。
その様な被害が、まるで遊びとしか思えないほどの衝撃が、エリリカと斬、それに、それまで呑気な日常を過ごしていた人々を、一瞬にして悪夢のどん底に陥れた。
エリリカの膝は、微妙に震えていた。
「ね、ねえ、あれ。ビル、ビルが燃えてる!」
落雷は、「ビル」を覆っていたメッシュシートに火を放ち、たちまちその
摩天楼を紅蓮の炎に包んでいた。
「か、火事だ!」
誰かが叫んだ。
「に、逃げろ!」
声の主が、再び絶叫した。
そのビルは、まるで地獄の業火に焼かれる罪人の様に、悶え苦しみながら燃え上がった。
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