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ポカンのうなじ
「お前……意外に綺麗なうなじしてるな……」
そう言って、オレは思わず、親友のポカンのうなじを触ってしまった。
ポカンは、くすぐったそうに笑って、後ろ手にオレの手を払った。
「触るな、バカ」
オレは、すぐに手を引っ込めたが、ガサツで男っぽいポカンのうなじが、そこいらの可愛い女子より、綺麗だったことに、何故か動揺していた。
ポカンは、いつも、ガサツで、ボーっとしている。
だから、「ポカン」というあだ名が付いた。
オレとポカンは、仲がいい。
オレは、ポカンが好きだ。
ポカンは、オレのことが好きだろうか……。
いや、そういう意味じゃなくて!
友達としてだ!
ドキドキ。
なんだか、胸が苦しい。
こ、これは、もしかして、恋なのか?!
オレは、ポカンのうなじが綺麗だからといって、恋をしてしまったのか?!
そんなオレを振り返って、ポカンが言った。
「おい、顔が赤くて、湿疹が出てるぞ」
「えっ?」
「お前、さっき、学食で、魚のフライ食っただろう?」
「ああ、アジフライな」
「いや、あれ、サバだってよ」
「えええっ?! オレ、サバ、アレルギーなんだ!」
「だからあ~、サバに当たってるって、お前」
オレは、体中が痒くなった。
なんだ……。
このドキドキは、アレルギーで苦しくなっただけだったのだった。
恋じゃなかった。(´▽`) ホッ
おわり
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