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「香奈が・・・・姪が『おうじさまも、かっこよかったよ』って言った理由が分かった・・」
「ああ、3歳くらいの女の子だよね。『みづきちゃんは、おひめさまだよ』って、俺にも教えてくれた。ドレス、美月のイメージそのものだね。すごく綺麗だ」
ふふっ、とお互いに微笑む。
「私たち、初めて会ったのは雨の日のお昼だったよね。どうして、あの時私に傘を差し出してくれたの?」
「・・それ、いま聞いちゃう?」
「え? 聞かないほうがいい?」
「いや・・・・。実はあの時、傘を2本持ってたわけじゃないんだ。折りたたみ傘は持ってたけど、長い方の傘はお店で借りたんだ。美月に話しかけたくて・・。
あの日、朝から常務に呼ばれてオフィスを訪ねて、その時たまたま見かけた美月に、その・・目を奪われたというか・・・・」
「そう・・だったんだ」
「一目惚れ、だよ。俺の人生初」
そう言って、照れ笑いする。
「それ・・私も・・だと思う」
「本当?」
「相澤さんに、どんな人に傘を借りたんですか?って聞かれたの。私、『素敵な人』って答えながら、スーツ姿とか顔や声を思い出してた。その時から、また会いたいなって」
近づいてきた彼の指が、私のあご先に触れる。
「美月、それいま言っちゃう? 後で、メイク直してもらってよ」
誓いのキスの前に、彼の唇が降りてきた。
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