1.素敵な人

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部屋に入ると、空川さんはソファにドサッと寄り掛かった。 だいぶ、酔ってるみたいだ。 「空川さん、お水持ってきますね」 「うん・・」 ジャケットを脱ぎ、ネクタイをグッと緩める。 当たり前の仕草だけれど、やっぱりドキッとした。 このままここにいたら、雰囲気に支配されてしまいそうだ。 「あの・・私、帰りますね」 そう言ってバッグに伸ばした手を、ふいにつかまれる。 「・・・・帰らないで」 その言葉と私を見上げる視線に、どう反応していいか戸惑う。 「俺、カッコつけたくて余裕ぶってたけど、もう限界」 「え?」 「はー、カッコわる」 ククッ、と俯いて笑っている。 「クルマで寝顔見た時、もうヤバかったんだ。他の誰にも見せなくないって、強く思って。でも、それをどう伝えればいいのか分からなくて飲み過ぎた・・・・カッコ悪いよね」 「空川さん・・・・」 こんなにストレートに表現されたら、勘違いするはずもない。 このまま朝まで・・・・私と一緒にいたいということだよね。 「顔、上げてください。カッコ悪くなんかないから」 ゆっくりと顔を上げた空川さんの唇に、私は、自分の唇を触れさせた。
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