1.素敵な人

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何度か求め合った後に迎えた朝は、私が先に目覚めた。 すぐ目の前に、空川さんの寝顔がある。 ほんの少しだけクセのある黒髪に指を通すと、起こしてしまったのか、身体が動いた。 「ごめんなさい。起こしちゃった」 「・・・・うん、いいよ」 寝起きながら、何か言いたそうに私を見つめている。 「・・・・なんかさ」 髪の毛をすいていた私の手に、空川さんは自分の手を重ねる。 「目が覚めた時、一緒にいたいと思った人がいるのって、こんなにいいものだったんだ」 「そんなこと言って・・・・誰かと目覚めるのは初めてじゃないでしょ?」 「まぁ、それはね。でも、俺が言ったことちゃんと聞いてた? 『一緒にいたいと思った人が』ってとこ」 「うん、聞いてた」 「つまり、そういうことだよ」 ふわりと私を抱きしめて、まだ眠そうに瞬きしている。 「美月は・・・・目が覚めた時に俺がいて、後悔しなかった?」 「後悔? どうして?」 「俺と一緒で、良かったのかな・・って」 答えに困った。 後悔はしていない。 だけど、俺と一緒で良かったのか・・という問いかけには、どう答えればいいんだろう。 考えを巡らせて、私は答えた。 「少し、後悔した」 「・・・・そうか」 「朝まで一緒にいてもいい?・・って言ったことを」 「・・うん」 「私も・・・・」 「え? 私も?」 「私も、日曜の夜まで一緒に・・って言えばよかったなって」 「それは、後悔・・なのか?」 「ん? 違った?」 「どうかな・・でも、そういう後悔なら大歓迎」 そう言うと、私を抱き締める腕に力を込めて額にキスした。
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