1.素敵な人

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「あ、嘘・・」 窓の外に視線を向けると、いつの間にか雨が降り始めていた。 少し待てば止むだろうか。 傘無しでは、さすがに濡れてしまう強さだ。 「どうしよう・・・・」 会計を済ませたものの、外に出るのを躊躇していると、『あの・・』と後ろから男性の声がした。 「あぁ、ごめんなさい。ドアの前にいたら邪魔ですよね」 私は慌てて脇にずれた。 それを見た男性はクスッと笑った。 なぜ、笑うの・・? 「人材開発2課の永田(ながた)さんですよね? 傘、どうぞ。たまたま2本あるから」 「えっ」 誰・・だろう。 向こうは私を知っているようだけれど。 「あの・・ごめんなさい。どちらの部署の方でしたっけ?」 「ああ、突然すみません。僕は、来週からあなたの上司になる空川(そらかわ)です」 空川・・空川・・・・。 「本部長!?」 これが私たちの初対面だった。
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