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私たちは予定通り日曜の夜まで一緒にいて、お茶を飲んだり、買い物して食事を作って食べたり、ゆっくりと時間を過ごした。
「じゃあ、明日会社で・・・・」
「・・・・うん」
「美月、中入れよ」
「空川さんが帰るの、見送ってから・・」
離れがたくて、つないだ手を離すことすらできずにいた。
でも、空川さんは明日が着任初日。
いろいろと準備だってあるだろうから、さすがにこれ以上は申し訳ない。
それなのに。
その思いと、違う言葉を私は口にした。
「あと、もう少しだけ・・・・」
「もう少し? 5分?」
「うん・・」
「もっと?」
「・・・・ううん、遅くなると悪いから」
「そうかー、美月にとって俺はその程度の男か」
「え?」
「明日の朝までとか、ずっととか、言われたかったな・・って」
空川さんは、少し寂しそうな顔をした。
「だって、そんなこと言ったら困らせるかと・・・・」
「じゃあ、本当はどう思ってた?」
「まだ・・」
「うん」
「まだ一緒にいたくて、まだ離れたくない」
「良かった」
私を抱き寄せて、頭をポンポンと撫でる。
「じゃあ美月の家に泊めてくれるかな・・・・。うちに泊めたら、美月が帰る時に寂しい思いするだろ。その代わり、明日の朝は5時起きだけどいい? この格好で出社できないからさ」
「うん・・いい」
私は、彼の胸に顔をうずめた。
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