1.素敵な人

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私たちは予定通り日曜の夜まで一緒にいて、お茶を飲んだり、買い物して食事を作って食べたり、ゆっくりと時間を過ごした。 「じゃあ、明日会社で・・・・」 「・・・・うん」 「美月、中入れよ」 「空川さんが帰るの、見送ってから・・」 離れがたくて、つないだ手を離すことすらできずにいた。 でも、空川さんは明日が着任初日。 いろいろと準備だってあるだろうから、さすがにこれ以上は申し訳ない。 それなのに。 その思いと、違う言葉を私は口にした。 「あと、もう少しだけ・・・・」 「もう少し? 5分?」 「うん・・」 「もっと?」 「・・・・ううん、遅くなると悪いから」 「そうかー、美月にとって俺はその程度の男か」 「え?」 「明日の朝までとか、ずっととか、言われたかったな・・って」 空川さんは、少し寂しそうな顔をした。 「だって、そんなこと言ったら困らせるかと・・・・」 「じゃあ、本当はどう思ってた?」 「まだ・・」 「うん」 「まだ一緒にいたくて、まだ離れたくない」 「良かった」 私を抱き寄せて、頭をポンポンと撫でる。 「じゃあ美月の家に泊めてくれるかな・・・・。うちに泊めたら、美月が帰る時に寂しい思いするだろ。その代わり、明日の朝は5時起きだけどいい? この格好で出社できないからさ」 「うん・・いい」 私は、彼の胸に顔をうずめた。
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