3.真実

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「はぁーーー、良かった。美月に『ごめんなさい』って言われた時は、心臓が止まったよ」 「え?」 「断られたのかと思ったってことだよ〜」 「あぁ、そうか、ごめん、違うの、ほんとに、そうじゃなくて、私 ーーー」 私の弁解は、彼の唇で塞がれた。 「少し黙ってなさい。分かってるから・・。 俺が指輪を用意して『夫にしてくれる?』って言ったから、美月も何か用意しないと『奥さんにして』って言えないと思ったんだろ?」 「うん・・そう」 「全く〜。・・・・罪なヤツ」 彼はソファから立ち上がって、冷蔵庫の中をのぞいた。 「あ、あった。美月、お祝いするか」 「お祝い?」 「うん。兄貴が高いシャンパンを冷蔵庫に入れておくって言ってたんだ」 「え、でも飲んでいいの?」 「もちろん。元は、俺の復帰祝いで用意してくれたものだからね」 「じゃあ、遠慮なく・・」 「グラス、出してくれる?」 私がキッチンのカウンターにグラスをふたつ並べると、彼がシャンパンを注いでくれた。 「はい、美月」 「ありがとう」 「これからもよろしく」 「こちらこそ」 軽く、グラスを合わせる。 「美月」 「ん?」 「俺、人生で初めて言う」 「え? 何を?」 「愛してるよ」 私たちのキスは、お互いにシャンパンの香りがした。 その夜のうちに、私は両親に彼のことを電話で伝えた。 電話口で両親と話す彼は、海外赴任のことと結婚の意思を伝え、あっさりと入籍の同意をもらった。 父も母も、急に決まった40歳での娘の結婚に涙を流し、早く彼に会いたいととても喜んだ。
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