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ついに私の海外赴任が公示され、周辺が一気にざわついた。
「全く・・ひと言くらい相談してくれたって」
「本当ですよっ! どうして教えてくれなかったんですかぁ」
井川と相澤さんに挟まれ、恐縮しているところに、彼がタイミングよく現れる。
「あ! 本部長! 本部長は事前に知ってたんですか? 課長の海外赴任の話」
「え? あぁ、まぁ、上司だから内示の段階では・・。といっても、数日前。
どうも、常務とふたりで秘密裏に進めてたらしいからね」
そう言って、彼が私を睨む。
バツが悪く、思わず視線を逸らした。
「そういえば・・本部長もいなくなるんですよね。友人から、JHに戻るって聞きました」
「そうなんです。濡れ衣も晴れましたし」
彼は、井川に視線を向けた。
それに気づいて、井川も肩をすくめる。
「その件は・・本当に申し訳なかったです。内情も良く知らずに噂を鵜呑みにして、本部長にも永田課長にも、余計なことを言ってしまって」
「いえ、私も話せなかったとはいえ、誤解を招くようなことになってしまった。すみませんでした」
良かった・・。
ふたりのわだかまりも、これで溶けそうだ。
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