91人が本棚に入れています
本棚に追加
最近、モリーはおやつの時間にわざとらしく独り言を漏らすようになった。
「あらあら、またクッキーを落としてしまったわ。あとで片付けましょう」
そう言って彼女は落としてなどいないクッキーをきれいなペーパーナプキンに小さく割って乗せ、窓辺に置いてリビングから出てくる。
しばらくして戻ると、クッキーは綺麗になくなっている。
空になったペーパーナプキンを見て、モリーは嬉しそうに微笑んでいた。
僕はドールハウスを買ってきて、リビングの出窓に置いてやった。
モリーは喜んでそのドールハウスに手作りの服を並べたり、テーブルにパンを置いたりしてコビトの反応を待った。
「ねぇ、ディビッド。見て! 私の作った黄色いシャツがなくなったわ! シフォンケーキもきれいになくなってる! ああ、でもレーズンパンはあまり好きじゃないみたいね」
モリーはドールハウスの変化に一喜一憂している。
コビトのためにと張り切るモリーだったが、僕にとってはモリーに活力を与えてくれるコビトの存在がありがたかった。
最初のコメントを投稿しよう!