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温もり
気がついた時、僕は病院のベッドにいた。
「え……。
僕、どうして?」
「どうして? じゃないわよ!
あなた、凍死しかけたのよ!
ばか!」
美佐子が僕の上に泣き崩れて、胸をバンバン叩いた。
「お、おとーさ……ごめ……なさい……。」
みゆが泣きはらした顔でしゃくり上げながら、握りしめた手で両目を何度もこすっている。伸ばしかけの髪が、涙で濡れて頬にくっついていた。美佐子が伸ばさせているのだ。来年の入学式でおさげ髪にさせたいと言って……。
「……だいじょうぶだよ。」
僕が二人の頭を撫でた時、医師が来て言った。
「気がつかれましたか。
さいわい、異常はないようです。
すぐにでもご帰宅になれますよ。」
「はい。」
僕はうなずいて、あらためて妻と娘を見た。
また会えて、良かった。
本当に……良かった。
「二人とも、泣きやめよ。」
言った僕が、泣き出してしまった。
僕は二人を左右それぞれの腕で抱き締めた。
とても温かくて、しみてきて、さらに泣いてしまった。
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