毒先祖

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 充はいろいろと考えを巡らせる。  確か、塩だけじゃなくてお酒もお清めの効果があるはずだよな? うーん、でも、うちにあるのは缶ビールだけだ。あれで大丈夫だろうか?  そんなとき、リビングのテーブルに置いてあるスマホが鳴った。  「ええい、やかましい。真っ二つにしてくれる」  ご先祖様が刀を抜いて立ち上がった。  「わっ! わっ! ちょっと待って」  慌てて駆け寄る充。スマホを手に取りご先祖様を見た。  「早う静かにさせい」  「わかったから落ち着いて……」  なだめるように言ってスマホのモニターを見る。相手は恋人である祐理(ゆり)だ。ここで話すのは気がひけたので、キッチンへと向かった。  途中振り向くと、ご先祖様はまたテレビを見始める。いつの間にかドラマになっていて、ラブシーンのようだ。  なんだよ。いい場面でスマホが鳴ったからキレたな?  だんだん毒先祖ぶりに拍車がかかっている。  とりあえず電話に出ると「充くん、今から行っていい?」と切羽詰まった声が聞こえてきた。  「ど、どうしたの、祐理ちゃん?」  「ちょっと大変なことになっちゃって、逃げ出してきたの」  「どこから?」  「家から」  「はぁ?」  祐理は充同様一人暮らしのはずだが……?
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