16人が本棚に入れています
本棚に追加
充はいろいろと考えを巡らせる。
確か、塩だけじゃなくてお酒もお清めの効果があるはずだよな? うーん、でも、うちにあるのは缶ビールだけだ。あれで大丈夫だろうか?
そんなとき、リビングのテーブルに置いてあるスマホが鳴った。
「ええい、やかましい。真っ二つにしてくれる」
ご先祖様が刀を抜いて立ち上がった。
「わっ! わっ! ちょっと待って」
慌てて駆け寄る充。スマホを手に取りご先祖様を見た。
「早う静かにさせい」
「わかったから落ち着いて……」
なだめるように言ってスマホのモニターを見る。相手は恋人である祐理だ。ここで話すのは気がひけたので、キッチンへと向かった。
途中振り向くと、ご先祖様はまたテレビを見始める。いつの間にかドラマになっていて、ラブシーンのようだ。
なんだよ。いい場面でスマホが鳴ったからキレたな?
だんだん毒先祖ぶりに拍車がかかっている。
とりあえず電話に出ると「充くん、今から行っていい?」と切羽詰まった声が聞こえてきた。
「ど、どうしたの、祐理ちゃん?」
「ちょっと大変なことになっちゃって、逃げ出してきたの」
「どこから?」
「家から」
「はぁ?」
祐理は充同様一人暮らしのはずだが……?
最初のコメントを投稿しよう!