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「そうでござるな。貴様のこと、ふがいなささうにて鍛え直したいでござる所業は多いが、かも時代が違うからであろう」
なんかひっかかるなぁ……。
苦笑する充の肩に、祐理の手が乗せられた。
「この人、頼りなさそうに見えるけど、やる時はやりますよ。何より優しいし。だから、安心してお戻りください」
う、うわぁ……。充の顔が真っ赤になった。
そんな姿を見て、ご先祖2人が笑う。
「時代は離れ、違和感はあるが、幸せそうでござるは良かった。拙者達の時代はいつ何奴が命を落としてもおかしうなかった。じゃからかのような事にもなった。何卒、今のその平和を大切にしてくれ。しかして、とこしえにねんごろにな」
徐々に先祖2人の体が空にのぼっていく。そして姿がゆっくりと薄くなる。まったく見えなくなる直前に、2人して手を上げる。
それに応えるように、充も祐理も手を振った。
「なんか、最後にいいこと言って帰って行ったね」
「うん。よかった……」
肩を寄せ合いながら、充と祐理はしばらく空を見つめていた。
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