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ぼくの部屋からは、にわがよく見える。なんとなく外をうかがうと、タロウがあんしんしたようにねそべっていた。そして、父さんはというと、まだ同じ場所に立っている。
「どうしたんだろう……。あっ」
なにやら考えていたふうの父さんだけど。思い出したように、きゃたつをなやにもどした。そして、また考えるふう。
しばらくして――動き出す。
小さなしめなわとかがみもちをとりにもどって、むかったのは軽トラ。でも、あけたドアを直ぐにしめた。その時、父さんの手にあったのは、パックづめのなにか。よく行くスーパーで買ってくる、あんこ入りのつきもち――あんもち――のパックに見えた。
あんもちをそなえようとしている?
どういうことだろう。これは、気になった。
見ていると、父さんはきゃたつをもどしたばかりのなやに入っていく。トラクターがあるのは、なやではなく、そうこの方なのに。
では。
なやでなにをするつもりなんだろう。
気になった。すごく気になった。
ぼくはもう一度、外に出た。音を立てないよう、わざわざうらの戸口から。
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