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回復期
#4
それでも私は、生きていた。
心に空いた穴は塞がりはしなかったけれど、こんなことで死んじゃいけないと思った。
私は這うようにして、1日1日を生きた。
あと1日、あと1日と。
大学進学の時期になり、獣医科のある大学に行こうかと思ったが、私の偏差値では到底無理だった。
獣医科を選ぼうと思ったのは、もちろん、ドン太ロスから抜け出せるかもしれないと思ったから。
しかし考えてみると、犬に囲まれたら、余計にドン太を思い出すだろうなとも思った。
結局は、なんてことのない短大に進み、新しい友だちも出来たことで、私の健康も徐々にだが回復していった。
そして卒業する頃には、真っ当な人間になっていた。
そう思った。
いや、そう思いたかった。
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