並木道〜病める時も、健やかなる時も、あなたと〜

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「私も、あなたが好きです」 桜並木の道に、また新しい思い出が増えた。 二年間交際したのち、私と実さんは結婚することになった。プロポーズされた場所はもちろん並木道。そして今、私は買ったばかりの白いワンピースを着て実さんと手を繋いで桜並木の道を歩いている。これから、婚姻届を提出するところだ。 「いいの?結婚式挙げなくて」 実さんが訊ねる。私は首を縦に振った。 「いいの。豪華な結婚式も、ダイヤモンドの指輪も、ハワイかグアムの新婚旅行もいらない。お金は新居とかに使いたいから。だからこのワンピースで充分」 木漏れ日がとても綺麗。夏場だからかここには誰もいなくて、まるでバージンロードを歩いている気分になれる。二人きりの結婚式だ。 「誓います。病める時も、健やかなる時も、僕はずっとあなたを大切にします。幸せにします。そばにいます。愛します」 急に足を止め、実さんが真剣な表情で言う。私は溢れてしまった涙を拭い、実さんと同じ誓いの言葉を言う。 「私も誓います。病める時も、健やかなる時も、ずっとあなたを大切にします。幸せにします。そばにいます。愛します」
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