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私がそう妊娠報告を笑顔ですると、実さんに素早く鞄を奪われ、首にマフラーをグルグルと巻き付けられる。
「えっ、実さん?」
「妊婦さんは重いもの持っちゃダメでしょ?あと体を冷やすのも!」
「その鞄、財布とハンカチくらいしか入ってないからそんなに重くないよ?マフラーだって、カイロ持ってるから寒くないよ?」
「でも僕に持たせて。マフラーも巻いてて」
まだお腹は全然大きくなっていないのに……。そう思いながらも、私の心は温かい幸せで満たされていく。実さんとなら、きっと初めての子育ても大丈夫だよね。
「いいパパになれるよう、全力で頑張るよ!」
「期待してるからね、パパ」
嬉しそうに笑う実さんの腕に、私は自分の腕を絡ませた。
私と実さんの赤ちゃんは、お腹の中で順調に育ち、無事に産まれてくれた。陣痛はとても痛かったけど、産まれてくれた女の子を見た瞬間、疲れも何もかも吹き飛んでしまった。
子どもの名前は実さんとじっくり話し合って、美羽と名付けた。自分の人生を自分の力で切り開き、幸せを掴み取ってほしい。そんな思いを込めて、出生届を提出した。
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