夜空を見上げ

2/2
前へ
/89ページ
次へ
仁の傷も癒えた頃、 星七のスマホに仁からの着信が入る。 「もしもし、仁?」 「星七、今 何してたの?」 「えっと、夕飯食べて、お風呂入って、  テレビ見てた」 「仁は? 今 何してるの?」 「俺? 俺は、今、星七の部屋の前」 「えっ?」星七が慌ててドアを開けた。    スマホを耳に当てた仁が立っていた。 「こんばんは。星七」 「仁、どうしたの?」 「空 見てたらさ、星七に  会いたくなったんだ」 「仁、嬉しい。ありがとう」  と星七がはにかんだ。 暫くの間、仁は星七と話をするとネオン街に帰って行く。 奉遷会事務所内に戻った仁。 夜の世界での生活、 裏社会での生活。 繁華街に出ると、綺麗な女が仁に群がる。 「仁、今夜 私とどう?」巧みに誘う女たち。  仁は無言で微笑むと女たちの間を歩き去る。 「兄~貴」怜央が仁の隣に歩み寄る。 クスっと笑う仁。 華やかなネオンの下を歩く仁と怜央、 誰もが彼らに頭を下げる。 仁が夜空を見上げると、 ネオンの光に反射して、夜空の星が霞んで見える。 「仁さん、怜央さん、会長がお呼びです」  新谷が二人に言った。 二人は顔を見合わせると、奉遷会事務所に向かって歩いて行った。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

274人が本棚に入れています
本棚に追加