ふたりの現実

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ふたりの現実

レイナは、築20年の六畳二間のアパートに一人で住んでいた。 両親は数年前に他界、親が多額の借金を抱えていた真実を知らされ、取り立て屋から、借金返済のために現在彼女が働く『風俗店』を紹介された。 彼女は、月曜日から水曜日までは昼間は近くのスーパーで働く。そして、木曜日から土曜日まで夜の店で働いていた。 彼女が務める店は、彼女の住んでいる地域からは離れており彼女が風俗店で働いていることは彼女の周囲は全く知らない。 仁が感じる通り、昼間の彼女からはとても想像がつかないからだ。 今日は、木曜日。夕方になると彼女は支度を整えるとお店に向かう。 安藤仁。天体観測所職員 大学で天文学を選考し大学院に進む。幼い頃から星座、惑星、星空が大好きな彼は念願の天体観測所職員として、正式に採用が決まってから早いもので2年が経とうとしていた。所長をはじめ、先輩にも恵まれた彼は、温厚で真面目な彼の姿は、職場でも高く評価されている。 今日も彼は仕事が終わると一人、自宅に置いてある天体望遠鏡で星空を見る。
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