冒険のはじまり

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 にゃー、にゃー、にゃー……。  おぎゃー、おぎゃー、ぎゃー……ぎゃー。  にゃー……。    おぎゃー。  こんなにうるさく泣いているのに、すなはまにおしよせる。ちいさな波がざあざあと泣き声をかきけしてしまう。  せせこましいこべやの小さなベッドの小さなふとんの中で、赤ちゃんと子猫が泣いていた。  けれども、母親と母猫は。  二人がいつまでも泣いていても。  二人はいつまでもかえってこない。 …………  こべやのすみには二人の泣き声で、かんにんぶくろがきれたネズミがいた。
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