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(来たっ!)
私は噴き出しそうになるのを懸命に堪え、薄目を開けてじっと様子を観察する。
それを初めて見たのは、三ヶ月程前のことだった。
おばあちゃんが亡くなって、その後しばらくして、私達はここに越して来た。
たまに来るには楽しいけれど、ずっと住むには不便な田舎。
最後まで反対した私の意見は聞いてはもらえず、かといって、一人暮らしが出来る程の甲斐性もなく…
結局、皆に従うしかなかった。
しかも、家は古くてこれまた何かと不便だらけ。
だけど、広さは今までの倍以上。
一間をカーテンで仕切って妹と共有してた狭い空間は、横になるのがやっとだった。
それが、ここに来て、一人の部屋になったのは嬉しかったけど、広い上にしんと静まり返った田舎の夜はなんだかとても落ち付かない。
私は、ここに来てから小さなスタンドライトを点けて寝るようになった。
ある晩、おかしな夢を見た。
かさかさと音がして、障子の向こう側から小さな穴が開き、ちっちゃいおっさんがそこから入って来る夢だった。
(なんだか変な夢、見ちゃったなぁ…)
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