俺は〜職人だ!

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俺は中村 匡(なかむら たすく) どんなに意味のある名前か気になって調べたところ「堅実」「誠実さ」「真面目」「正す」らしい。 そんな大層な····第一子に夢見過ぎじゃねぇ? あれが、やりたい。あれが欲しい。アイツはいい生活送ってんな、羨ましい〜なんて 他人の暮らしが、よく見え過ぎるんだ。 分相応って言うじゃないのかい? 近所の賄いの出る中華飯店でバイトをやっているうちに「中村君、手際が良いよ〜真面目に調理やらない? 」 店長からのお誘いで俺は調理師を゙目指した。 「匡、大学に行って苦労しない暮らしを目指しなさい」大した金持ちでも無い親父が変な夢を押しつてきた。まぁ、苦労はさせたくないっていう親心なのかねぇ。 「俺は隣の芝生は青くは見えねぇな~弟、妹を行かせて苦労の無い社会人にしてやってくれ」 ホームレス、生活保護、必死に働きながらも貧困層から抜けだけない顔色の悪い人々が近所にたくさん居る。 「慈善事業じゃねぇ、けどよ安価な物を提供できる店をやりたい、親父ダメかい? 」 「お前の想うまま進んでくれ。応援している、お前は素晴らしい匡だ」 どんなに足掻いてもやるべき事をやり通す。 大事な物を見間違えるな、俺は偉いヤツに成りたい訳じゃねぇ、苦労なんて歓迎してやるさ。 だってよ、人の笑顔が俺の幸福を満たすんだ。 苦労して弟を大学に妹は良家に嫁がせた親父は世の中の寿命を全うできず俺の小さな店の開店も見れずに病に負けて三途の川を渡っていった。 開店一周年。 客が「美味いな〜」と言って食べてくれる飯をアンタにも食ってほしかったな····思いながら 位牌の前に炒飯と線香を添え手を会わせ 【アンタの応援のお陰で良い料理人になれた、あんがとな。手に職は人生の力だ。苦でもねぇ、続けていくさ】 亡き父に誓いを立てる中村 匡。
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