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華やかに彩られた、都会の街。幾つもそびえ立つビル群はさながら、子供の頃に誰しも描いた近未来なのかもしれない。
そんな都会を、大きな河を挟んだ向かい側から、ペンギンとネコが眺めていた。
「あんたはペンギンか」
ネコは、低く渋い、しかしどこか機械的な声で問いかけた。
「あなたは、ネコなんですね」
可愛らしくおっとりした声で、ペンギンは問いを返す。
"2人"は街を追い出された。人の姿さえ奪われて。
「いいですね、ネコ」
「ただのネコならな」
ネコは自分の身体を叩くと、鉄の響く音がした。
「いいじゃないですか、ロボット。お腹空かないですし」
ペンギンはひどく呑気である
「だが、死ねない」
「一緒に飛び込みます?」
「笑えねぇぞ」
だが、ペンギンは笑っている。
「防水かもですしね」
「そうじゃないだろ」
しかし、おかげで色々と考えることがバカらしいと思えた。
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