幸福脳炎

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*  寺岡は疲れからベッドの上に横たわっていた。  寝ていたのか、頭がボーっとする。  いくら体を動かそうとしても動かない。手足がとても重い。目を動かして周囲の状況を確認すると、そこは自宅のベッドだった。周囲の景色は霞んでぼやけている。  まるで夢のような不自由さと曖昧さだった。  すると彼の視界にある人物が入ってきた。  それは彼が失った、世界で唯一の宝物だった。  もう二度と会えないと思っていた彼の大事な……  そして何度も会いたいと願った… 「お父さん、やっと会えた」 「父さん、また会えたね」 「会いたかったわ、あなた」  こうして寺岡は幸せそうな表情で息を引き取った。
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