『こんらん』 2

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

『こんらん』 2

 秘密の収容所は、とある石灰岩地域の、観光洞窟ではない、なぞの洞窟内に作られていた。  地下のエントランスあたりは、柱がならび、なにかが、ぴかびか点滅していて、ほとんど、昔の映画の宇宙人の秘密基地である。  しかし、地上からの通常の入り口はないらしく、その代わりに、縦穴エレベーターが密かに設置されていたのである。  こんな場所、よく、見つけ出したものだ。  あるいは、普通の入り口は、後から封鎖したのかもしれない。  しかし、内部は、なんとかファイルみたいな、おどろおどろしい生き物が並ぶような場所ては、むしろなくて、見た目は、わりに、普通の病院みたいである。  でも同じ市内とは思いがたい。  ぼくは、ガラス張りの容器のまま、とある個室に運び込まれた。  ひとりの看護師さんがやってきて、容器を叩きながら、こう言った。  『もしもし、ようこそ。市民地下秘密病院へ。』             ♿🏥    
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!