mission〜最終章〜

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「葵、ホントに大丈夫?心配だよ」 川瀬に佐橋とケリをつけることを話すと、 川瀬は不安そうな表情を浮かべ、 僕に抱きついてきた。 「もしかしたら少し過激なことをするかも 知れないけど、由貴は僕を信じて」 「うん。葵を信じる」 「佐橋は僕たちの交際を阻む最大の原因を 惹き起こす存在だから、もっと早く芽を 詰んでおくべきだったのかもとは思うけど、 今だからできることもあるかなとも思う。 由貴‥‥僕に力を貸して」 「具体的に、何をすればいいの」 川瀬がカラダを起こし、僕から離れた。 「職場の人で、信頼が置ける人はいない?」 「秋津さんて、口の堅い先輩がいるけど」 「悪いけど、その人に由貴の恋人役を 頼むことはできないかな」 「えっ?!葵、それはどういう」 「ただ、一緒に街を歩いてもらうだけで 大丈夫なんだけど。そこを佐橋を連れた 僕が通る」 「よくわからないけど‥‥訊いてみる」 「ありがとう、早速連絡取ってみて」 「うん」 川瀬は傍らにあったスマホを取り上げ、 メッセージアプリを開いた。 「このこと、秋津さんに話してもいい?」 「大丈夫だよ」 その言葉で、川瀬の指先が動き始めた。 「秋津さん、秒で既読にする人なんだ。 だから、承諾が取れるかはすぐにわかる」 送信ボタンを押し川瀬がスマホを下ろした。 「ねえ、佐橋をどうやって誘うの」 「由貴とうまくいってないから相談に 乗って欲しいとか適当なことを言えば、 あいつはホイホイ来るだろ」 「葵、サイテー」 「今まであいつがやってきたことを 考えたら、これくらい」 「だんだん、葵の計画が見えてきたよ。 相談と称して佐橋を呼び出して、街中で 僕と秋津さんが仲良く歩いてるのを目撃 させる。で、油断させたところで‥‥ え、何をするの」 「最後はまだ内緒。でも、そこまでは 合ってるよ」 「あ、秋津さんから返信。オッケーだって」 「由貴、頑張って恋人の演技してくれよ?」 「うん。葵との未来のためにね」
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