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佐橋と無事に連絡がつき、
計画が始動する日曜日の朝を迎えた。
鏡に向かい髭を剃っていた僕は、
武者震いが止まらないのを感じていた。
川瀬に頑張って演技をしろと言ったが、
果たして、自分は大丈夫だろうか。
実はこの日を迎えるまで
佐橋に嘘をつくのは止めて、
計画を中止してもいいのではないかと
何度も思い直していた。
もともと悪いことができない性分だ。
確かに佐橋がしてきたことは到底許される
ことではないと怒りは感じていたが、
本当に制裁を加えるべきか?それとも。
そんな葛藤は、
たぶん今日が過ぎ去っても続くだろう。
その時、スマホにメッセージ受信を知らせる
通知音が響いた。
川瀬からの連絡だった。
『おはよう。秋津さんと合流しました』
メッセージを目にして、僕は息を吐いた。
今回の計画は、動き出している。
もう進むしかない。
『おはよう。そろそろ、僕も出かけるよ』
川瀬にメッセージの返信をすると、
スマホをポケットにしまい立ち上がった。
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