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紗綾が寝巻きに着替え髪の毛をタオルで乾かしているときだった。
──コンコン、コンコン──
玄関のドアをノックする音が聞こえた。
(多分、恵介だわ。オートロックの暗証番号を覚えてたってこと? きっと、私がこの部屋にいてるかどうかを確かめに来たんだわ)
──二条さん、二条さん、おられますか? ──
だが、その声の主は恵介ではなかった。紗綾は恐る恐る玄関のドアスコープに目をあてた。
「わっ!」
ドア越しに目と目が合った。
外からも誰かがドアスコープを覗いている。
「二条さん、ちょっといいですか?」
中を覗いていた何者かはスコープから少し離れると、またしても私の苗字を呼んだ。
ドアスコープから見える明暗で相手もこの部屋に誰かいると気づいたようだ。
何者かがスコープから離れたことで相手の全貌が明らかになった。さっきの警察官だ。その後ろには恵介の姿も!
(なんで?)
居留守を使えないと諦めた紗綾は、しぶしぶドアの鍵を開けた。
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