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「こんばんは、夜分にすいません。ちょっとお話を伺ってもよろしいでしょうか?」
ドアを開けると警察官が2人、その後ろには恵介がニタニタほくそえんでいる。頭にタオルをターバンのように巻いている紗綾は、憤る気持ちを抑えながら警察官に返事する。
「はい。なんでしょうか?」
「この方をご存知ですか?」
「はい……」
「先ほど、この方からお聞きしたのですが、あなたに預けた宝くじを返して欲しいと、言っているのですが心当たりはありますか?」
「はあ? その宝くじ、はじめは彼と共同で購入したんですけど、彼と一緒にしていた会社を急に辞めて、なにもかもあとの責任を私に押し付けたんです。挙げ句の果てにはその宝くじをあげるから、それでチャラにしてくれって言われまして。──あっそうだ、そのときの通話録音があります」
警察官は恵介の方をジロリと見た。恵介は手を左右に振り反論しようとする。
「おい紗綾、そんなデタラメなこと言うな! その宝くじ、9つの数字は当たってるや。だから2等は確実なんやで。一人締めするつもりか!?」
警察官は紗綾の方を向き直した。
「すいません。ちょっと待ってもらえますか? 今、その通話を録音したスマホを取ってきますんで」
その後、紗綾がスマホを操作し、その録音を警察官に聞かせた。
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