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「なんで俺の隣の席がお前なんだよっ」
「たまたまなんやなか?」
ニヤニヤと笑う相手は今朝転校してきた鐵 美生。
(絶対金で校長吊ってんだろ)
初対面で『付き合って』とか言う人だもんな・・・
ーーー
キーンコーンカーンコーン
朝の自習時間は終わり。次は体育か。
「今日は寒いしジャージジャージっと・・・」
春なのにこの寒さは異常すぎる。
(あれ)
バッグの奥に入れたはずのジャージが、無い・・・!?
「いや、もう一回探そう」
ロッカーの中には入れる訳ないし、机の中入れたら感触でわかる。
今日の為に持ってきたはずなのに・・・
「翔太、何一人でぶつぶつ言いよっと?」
目の前には、さっき教室を出たはずの鐵が。
ていうかいきなり名前で呼ぶなよ!! 恥ずいから!!!
「もしかして・・・ジャージ探しよーと?」
「そーだよ!! 申し訳ないけど今お前と喋る時間ないんだ、しかも体育あとちょっとで始まるぞ。早く行った方がいい」
申し訳なくはないわ。
「うわぁ。せっかく貸そうと思ったじょん」
ジョン・・・? 英語のテストしてる??
「いや結構です!」
0.01秒気を緩めた自分が最悪だわ。
(もういいや)
急がないと間に合わない。
「ちょっと待たんね」
後ろから走って来るニヤ笑い女子は無視して全力疾走で下駄箱へ走るのだった。
ーーー
「はぁ?」
一時間目のちょっと手前。
鞄から筆箱を取り出そうとした時。
(なんで私の鞄に兄ちゃんのジャージがあるのよぉ!!)
そういえばあの人一時間目体育じゃなかったっけ・・・
「届けよ」
うわぁ、私ってば超優しい♡ 感謝しろよバカ兄が♡♡
ーーー
「二年はこの階段で三階まで行ってーー」
二年のクラスに行ってないからよくわかんないんだよね。結局もう一時間目始まりそう。
(急ご)
「あ、みるくぅぅ!!」
この声は・・・
「兄ちゃん、ジャージ持ってきーー」
「悪い、ちょっと時間ない!! でもありがと!」
兄ちゃんってこんなに足速かったっけ?
「待たんねーー!!」
「わお」
兄ちゃんの後からまた風のように走る人が一人。
(すごい顔小っちゃいな)
まさかの・・・彼女?
「お似合い、だな」
そう呟きながら私も二人とは反対方向の自分の教室へ駆けていくのだった。
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