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一週間後。
「採用致します! おめでとうございます!」と、あの面接官から連絡が来た。
実は、面接官はフェアさを失ってしまい、内田一人を採用するために、他に面接に来たハイスペックな人たちを全員不採用にしてしまった。
最初から内田の採用は確定していたのだ。
面接官は「俺、今度、あの勇者内田と一緒に働くことになったんだ! スゲーだろ? アイツ俺の部下になるのよ、勇者のウッチーが俺の部下に!」と知り合いに片っ端から自慢した。
周囲がドン引きするレベルの自慢っぷりであったが、面接官は周りの反応に気づかずに恍惚としていた。
「ありがとうございます! 宜しくお願い致します!」と宝石店からの電話に内田は大喜び。
面接官は、それ以上に大喜びしていたのだが「君、随分と嬉しそうだね。嬉しそうなのは大いに結構だけれども、はしゃぎすぎて初出勤の日に体調悪くて来れなくなるとかはナシだからね。しっかりと体調管理を行うように!」と興奮を抑えながら冷静なトーンで言った。
内田は、宝石店の警備員として働くこととなった。
初出勤の日、あの面接官が出勤していないのが気になったので、その事を社員に訊いてみると、「ああ、彼ね。彼なぜだかここ数日、妙にハイテンションでね。遊びまくって体調を崩したみたい。代わりに僕が仕事の流れを教えるからね」とのこと。
内田は、大きなブーメランを武器にモンスターと戦った過去を思い出さずにはいられなかった。
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