勇者の再出発

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「魔王! お前、魔王だよな?」 「忘れもしないその声は! う、内田さん……? 久しぶりですね……何か、ちょっと雰囲気変わりましたね。お会いできて嬉しいです」  魔王は眩しい笑顔を内田に見せた。 「あ、ああ……久しぶり! 状況を把握しきれてないけど……また会えたね。で、何で警察官やってんの?」 「いや、あの、実は……内田さんに倒された後、残された肉体から自動的に復活の魔法が発動されたみたいで生き返ったんですよ。そのとき反省したんです。俺、結構ヤバいことやってたなーって。猛省したんです」  「うんうん。それで?」 「これからは自分の力を私利私欲のためでなく、他人のために使おうと決意したんです! それで、かなり大変だったんですけど一生懸命勉強して警察官になったんです。今年からこの地域を担当しています」 「へぇー……よく採用されたな……でも、お前は根っからの悪いやつじゃなかったんだな」 「善良な一面もあったんですー!」 「魔王ー! 変わってくれて、俺を助けてくれてありがとうー!」 「内田さーん! いいんですよー! 普通に仕事しただけですからー!」  二人は、強く抱き合った。  内田は魔王と抱き合いながら、誰でも考え方を変えれば、過去は消せないけれども、少しずつ人生をやり直すことができるのかもしれないなと思い、号泣した。      (了)
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