【私の余命はあと…】

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そんなっ…。 そんな馬鹿なことってあるの? ここまで頑張ってきたのに…もう、大丈夫だと安心していたのに。 ぼんやりしたまま病院を出た私は、2年前と同じく足取りがおぼつかない。 だって私はまだ32歳。 それなのに、2度も病を患わないといけないのか? とりあえず、医師は抗がん剤治療と放射線治療を行うという。 それを思うだけで、吐き気が込み上げてきた。 これまで言う通りにしてきた主治医にさえ、怒りを覚える。 セカンドオピニオンも考えたが、すぐに全ての考えがぼんやりしていく。 あまりのショックと悲しみに、押し潰されそうだ。 なんとか重い体を引きずって車に乗ったが、ハンドルを抱えるようにして、まったく動けない。 今、エンジンをかけて走らせたら間違いなく事故をするだろう。 あぁ、死んでもいいのか。 どうせ死ぬんだったら、あんな苦しい治療をすることなく、いっそひと思いに──。 スマホが私を引き止めるように、悲鳴を上げて震えた。 『夫』と表示されたそれに、激しく縋る。 『──もしもし?香澄?検診どうだった?問題ない?』 「…浩二さんっ」 『香澄?どうした?何かあったのか?香澄っ?』 夫の浩二の優しい声が、私を暗闇から救い出す。 あの時、私に手を差し伸べてくれたように。
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