揃えた者達

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揃えた者達

パースと明香のやり取りが落ち着いて、話を進める事になる、 まずパースの話 「ルートに刺され、ミィカルと谷底に落ちる途中で剣を抜き、ルーモリアを持った手を切り落として、そのまま川に落ちたが半獣化することでドラゴンの鱗にワニの牙は通ることは無かった。ワニを避けながら下流に泳いで行った。ヒールを使いたかったが魔力障害の毒でも仕込まれていたのか使えなかった。陸に上がってスティーラー様を呼んで魔力障害の毒を治療してもらい、傷も治してもらって、川を下ってズビータに入ってスティーラー様のテレポートを使ってズビータの城を目指し、国王の部屋に忍び込んだ、アスカリ王は僕の話を聞いて本当に信頼できる者だけを集めて、保護してくれた。そして今日、収穫祭に参加するという事にして城のテレポートする際に従者に混ぜて私を付入れてきてくれた、そこからは佐武朗のスケルトンで明香の部屋の模型まで来て今ここに居るという事だ」 「パース様が強くてよかった」 明香の言葉にパースは感激しその安堵の顔に涙する、こんなにも自分は愛されているなんて幸福か! 「メイカより先になんて絶対死なないよ!僕たちの子供が死ぬまで生きてやる!」 「頼もしいわ」 明香が笑うので生きて帰ってよかったとパースは心から思った。 「パストル殿下の話は分かった。その話からするにドラゴンの密猟もドラニルワークがかかわっていることで間違いがないだろう、ドラゴンメイルやドラゴンソードを大量に作るのなら戦争準備なのは間違いないな」 カルミアの言葉に全員が頷く 「ですが父は魔法師団を鍛えていて騎士達はあまり気にしていなかったように思います」 メイレイの言葉に全員がメイレイを見る。そしてカルミアが言う 「失礼、メイレイ皇女貴方は迫害され国の内情を探れる位置にはいなかったように思いますが」 カルミアの言葉にメイレイは口元をほころばせる 「えぇ、私がわかるのは見たことだけです、魔法師団が何かの魔法を必死に練習してました。それが何かはわからなかったのですが動物を操っていたように思います」 「マリオネットワルツか!ドラゴンの死体を操るつもりか?だがマリオネットワルツはほぼ人形を操るのと同じ、高等技術が必要だ、戦争には向かないと思うが・・・」 それにミライザが考えながら言う 「でも数匹のドラゴンでも盾くらいにはなるのではないかしら、ドラゴンの体なら攻撃魔法を通すのも剣で貫くのもAランク以上の騎士や魔法騎士でも一苦労よ」 「死体の盾とは趣味の悪い事をするな」 アクセラの言葉に沈黙が落ちる、ドラニルワークはどこまでも醜悪だ。 しばらくの沈黙の後カルミアがメイレイに言う。 「メイレイ皇女、ここでは顔がバレても問題ない、仮面を取っていただいてもよろしいかな?貴方がミーシャの母である事の確認もとりたい」 「わかりました」 メイレイが仮面を取った時全員が息を飲んだ 「本当によく似てる」 「でもメイレイ様の方が美人です、そうでしょう?」 ジューンの言葉にラペルがその目を自分の魔力の赤に染めて言う 「確かにミーシャよりも美人だ、そしてちゃんと親子であることがわかる」 ワイヤークも虹色の目でメイレイを見る 「これなら公式の場でロバート鑑定伯に見せればそれでいいね、ミーシャ皇后の隠蔽魔法も解けたら完璧なんですがねぇ」 ワイヤークの言葉にアクセラがニヤッと笑って言う 「そこはドラニルワークのお得意の方法で行こう」 「「「ドラニルワークのお得意の方法?」」」 皆の疑問の言葉にアクセラが黒いバングルを出す 「兄さんが魔力封じの腕輪の解析を終わらせて、より強力な物を完成させた!」 おおぉ!と、そのバングルの意味を理解して皆、希望を持つ 「ナビアが完成させていたか、さすがだ」 カルミアがそう言ってバングルを見ながらアイテムボックスから水晶を出す 「息子ばかりを活躍させるわけにもいくまい、アヴィと私が集めた証拠だ」 出されたそれを見るとミーシャのメイドであるグリシャがカザーラの父と交渉する場所、グリシャは確実にミーシャの名前を出し、通信水晶で、ミーシャ自身がハイエナの安全の保障と成功報酬の確約をしていた。 決定的な証拠だ 「ユッカの部屋は燃やされていてね、見事に何もなかったんだけどね、カザーラが大事にしていた父の部屋を開けてくれてね、そこにあったんだ、ユッカは父の部屋には入れたことが無かったらしいからこの水晶の存在を知らなかったのだろう」 カルミアの証拠でアマンダ殺害が信者の暴走ではなくミーシャの指示だと言う事がわかる。 「ではルパペスト様はこれで王位継承権を失うでしょう」 佐武朗が出したのはあのドラゴン山脈でパースを刺すルパペストの映像、皇太子暗殺はいくら皇子であれ極刑は免れない 「私は父からこれを預かったわよ」 それはパラドーナ宰相の書いたパース殺害の指示書だった。 これだけ揃えばもう逃げ場はない 「でも、ミーシャにどうやってバングルを付けるの?」 明香の言葉にアクセラは難しい顔をして言う 「実はスライン伯爵が近づいてきたんだ」 その言葉に皆驚く、アクセラは胸にあった丸い球の付いたペンを机に置いて3回たたくとそこにはどことなくミーシャに似たスライン伯爵の姿が映る 「パストル皇太子殿下は生きているのでしょうアクセラ伯爵」 「なぜそう思うのです?我らはまだ捜索中です」 アクセラの言葉にスライン伯爵はニヤッと笑う 「私は兄ほど愚かではありません、死体がすぐに出てこない、ドラゴン族が刺されただけで愚かな兎と共に谷に落ちるわけがない、まぁ毒くらいは仕込んでいたでしょうが、パストル皇太子殿下がそんなことで死なないでしょう、私は騙せませんよアクセラ伯爵」 豪快に笑うスライン 「もしそうだとしてどうするのです」 アクセラの問いにスラインは冷静に言う 「ミーシャを兄に見せれば暴走するだろうことはわかっておりました。優秀な兄がユイフト皇帝陛下を操りどんどん愚かになって行く様を私は面白く観察しておりました。そしてミーシャを紹介した。あの子の美しさは人を魅了する、兄なら宰相以上の地位を得ようとする。そのためにミーシャを使うとわかっておりました。どこまでも落ちて行く兄を見て私は悦に浸って居りました。ですが最近のミーシャと兄は暴走しすぎている、あの二人に巻き込まれるわけにはいきません」 「暴走を促しておいて、いざ危なくなったら巻き込まれないように逃げたいとはいささか都合がよすぎるのでは?」 「えぇそうですこれは私の懺悔です、幼い頃から優秀な兄と愚かな弟と比べられて育ち、その心のままに清廉潔白で優秀だった兄が周りに愚かだと言われることを楽しんで止めることができなかった。これは私の罪です、だからこそ、ミーシャの実の父として身分剥奪も領地没収も何でもされましょう、ただ、他の子供達に罪はない、あなた方の計画に協力します、なので、罰を受けるのはこの私だけにとどめていただけないでしょうか」 スライン辺境伯は、ミーシャの実の父は、先ほどとは違い真剣に頭を下げる。父としての責任、弟としての責任、兄を煽ったことで起きた事件、スラインはただの父としてアクセラに頭を下げに来たのだ。 「今は答えを出せません、パストル皇太子殿下が見つかった時には貴方の処分を決めましょう、まだ貴方はミーシャ皇后とパラドーナ宰相の家族でスパイと言う疑惑はぬぐえないので」 「理解しております、ワイヤーク教皇に見ていただいてもかまいません、私の心が反省しパストル皇太子殿下の為にあることをどんなことをしてでも証明いたしましょう」 「わかりました、それでは今はおかえりください、後日ワイヤーク教皇猊下の都合がつくか確認しましょう、」 「ありがとうございます、では失礼します」 そこで映像は消える 「スライン伯爵の言葉が本当なら、スライン伯爵からのプレゼントとして送ればもしかしたらつけるんじゃないか?」 全員が難しい顔をする、スパイの可能性もある、だがスライン伯爵からのプレゼントなら、疑われることは無いだろうこれはチャンスでもある 「証拠は全て揃っている」 声を出したのはパースだ 「僕とメイレイ皇女はこの家に隠れよう、そしてルパペストの皇太子任命式の日に全てを明らかにし、ミーシャを死刑台に送る、ワイヤーク、スライン伯爵の真意を探れ」 「りょうかーい。」 「アクセラ、できるだけ早く秘密裏にスライン伯爵と教会に行け」 「承知した」 「カルミア、他の3大公爵と連絡を取り戦争の準備を」 「承知いたしました。」 「ブラックハウンドは他にもミーシャ達を追い込む証拠が無いか引き続き調査を」 「「拝命いたしました」」 「ラペル、佐武朗、ブラックハウンドを助けろ」 「殿下の命とあらば」 「パストル皇太子殿下の為に」 「ミライザ、しばらくマリアと共に明香の護衛をしてくれ、あの3人はまだ味方かわからない」 「了解、任せなさい」 「メイカ、また精霊に監視をお願いできるかな?」 「聞いてみる」 「よし」 パースは立ち上がる 「敵を追い込むぞ!もうこの国で悲劇を起こさせない!」 「「「「「はい!!」」」」」 さぁ・・・・もう・・・・終わりだ
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