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真実と悲しみ
ワイヤークがビジョンを展開する、そして仮面の女性が仮面を外せばその顔はミーシャにそっくりでその親の欄にはフェリペの名前、娘にはミーシャの名前
「ミーシャ?」
ユイフトはミーシャと見比べる。とてもよく似ている。
そして、メイレイが口で言う。
「私はドラニルワーク皇帝フェリペの娘、パラドーナ伯爵に近づきドラコニアの皇子皇女を騙すことのできる子供を作るためにドラコニアに入り、そしてミーシャを産みました。ミーシャはユイフト皇帝を騙すために育てられました。ソーン疱瘡はドラニルワークの作った伝染病、ユイフト皇帝はフェリペ皇帝が計画して皇帝にしたのです」
衝撃的な事実にユイフトはミーシャを見る、ミーシャは悲劇のヒロインのように言う
「そんな方は知りませんわ!そんなでたらめで私を追い詰めるほど私が嫌いなの?パース」
ワイヤークがミーシャを見るミーシャはバレるはずないと自分の隠蔽魔法を発動したのだろう、だがそれは動かず自分の親の欄にメイレイと言う名前が出る。
「な、何故!?」
ワイヤークが笑って言う
「ミーシャ皇后、そのバングル・・・・外れますか?」
ワイヤークの言葉で理解したミーシャはバングルを外してみようとして、ヒールを使おうとしてそのどれも失敗する。
「これは魔力封じの・・・・・!?」
驚くミーシャにワイヤークは笑う。
「作れちゃいましたよ、優秀な研究者が居ますので」
ミーシャは今朝に久しぶりに訪ねてきた実父を思い出す。
「ミーシャこれで国母になれるな、このオニキスのバングルはお前を導いてくれるだろう」
スラインがそう言ってミーシャの腕にバングルを付けた。自分が誕生するための種馬でしかなかった父、メンテの養子になってから初めて気にかけられたのは国母になったから、たかるためにすり寄って来たのだと思っていたのに!
「お父様が裏切ったというの!!!!」
「スライン伯爵は自分から協力を進言してくれたぞ」
パースの言葉にミーシャは顔を歪める
「所詮メイドの子だというのね・・・!!!」
悔しそうなミーシャを見ながら、パースは水晶を出す
「そしてこれはアマンダ皇后暗殺の証拠です」
「そんな物あるはずが!」
驚くミーシャをよそにパストルは水晶を起動する
拡張機の側に置き全国民に知れ渡るように
水晶に現れたのはミーシャのメイドであるグリシャが稀少な通信水晶でミーシャを映しハイエナと話している
「狩猟大会の日、あなた達をテルヤ森林に入れて差し上げます、この魔力封じの腕輪をアマンダに嵌めなさい、そしてアマンダとパストルを殺しなさい、貴方たちの命は赤い鎧の私の護衛騎士が保証しましょう成功報酬は金貨2千でどうですか」
「その報酬なら十分だ、本当に逃がしてくれるんだろうな」
「えぇ、必ず助けましょう」
「なら契約成立だ」
「ではよろしくお願いします」
水晶からミーシャの姿が消える
「くれぐれも、誰にもバレないようにね」
グリシャはそれだけ言って部屋を出て行った。
「まったく、貴族は偉そうで気に食わないがいい仕事がはいったぜ」
そう言いながらハイエナの男は録画を停止させた。
全国民がミーシャがハイエナにアマンダ殺害の指示を出した証拠を見た。
ミーシャは叫ぶ
「違う!これは捏造されたものだわ!私はこんなこと指示してない!!」
だがワイヤークのビジョンにミーシャの考えは見えてしまう
『なぜそんな映像が残っているの!ユッカには証拠を消せと言っておいたのに!』
ミーシャはビジョンに気がつき、悔しそうな顔をする
「ユッカは明香と私を殺すためにカザーラをけしかけたハイエナの名前ですね、やはりあの件もあなたがかかわっていましたか」
もう隠し通せない、自分で自白したも一緒だ、
「そうそう、サラベル」
パースに呼ばれてサラベルは一人のメイドを連れて来る
「君はいう事があるよね」
パースに鋭い目で見られたメイドは震えながら言う。
「聞いたのです、タシス侯爵に友達のカサブランカが聖女は精霊王と精霊女王を契約させているだけで祝福を受けていないと吹き込みました。そしてそれを指摘した私に裁判の日、この国で最も高貴な女性に褒美をもらうのと屋敷を出た後に死体となって帰って来たのです」
その高貴な女性は誰を指すのかわからない者はいない、もう自分は捕まってしまっている、逃げることもできない挽回する手段も無い、どうすれば!
「さて次は今回のドラゴン密猟事件の裏で動いていた私の暗殺計画はこちらを見ていただきましょう」
ワイヤークの目に移るビジョンにははっきりとメンテ宰相とミーシャの手記と言う文字と二人で作成された計画書の内容が映っている。
「ここに、ルパペストとパストルをスパイとばれたミィカルで崖に誘導し、ルパペストが毒を仕込んだ剣で刺し、ミィカルにその剣を渡し国軍に目撃させて崖に落ちるように、と書かれています、そしてミィカルは聖女がミィカルに指示した証拠を残して死ぬようにと、そこでこの書類です」
ワイヤークがアイテムボックスを展開しその中から、ミィカルが明香の字を真似て書いた、ミィカルの手記と書かれた指示書とパースの不満を描いた日記が出て来た。そのどれもがミィカルが描いたものだとワイヤークの目が言う。
全て、ミーシャの策略だったのだと証拠が揃っている
「だめ押ししましょうか」
そう言ってパースは新たな水晶を出すその水晶でルパペストはパースを刺し、ミィカルがその剣を受け取り崖下に落ちて行った。
もうここから挽回などできないだろう
「ミーシャ言う事はあるか」
パースの言葉にミーシャは黙る、そしてユイフトがミーシャの問う
「ミーシャ、嘘だよな、お前はずっと俺の味方だったよな」
情けない皇帝をミーシャが笑う
「あはははははは、なっさけなぁ、何その顔、本当に笑える、お爺様とは大違い!こんな情けない皇帝の国なんてお爺様のドラニルワークの属国がお似合いなのよ!」
「ミー・・・・シャ・・・・・」
「あともう少しでルパペストが皇帝になってドラコニアがドラニルワークの属国に成り下がるはずだったのに、人間が来てから何一つうまく行かない、本当に腹立たしいわ」
柔和で優しかったミーシャの見る影もない、本性のミーシャにユイフトはショックを受ける、こんな女に騙されて、自分はアマンダを蔑ろにして傷つけて、この女のせいでアマンダを失い、パストルを何度も危ない目にあわせていたのか、自分はこんな女を信じて・・・・
ユイフトは立ち上がり、ミーシャに歩いて行く
「ふ、ユイフト陛下今なら私もこの無礼を忘れますわ、だから陛下、この無礼な者達を」バチン!!
頬を打つ音、
あんなに愛した女をユイフトは殴ったそして言った。
「お前を愛したことも、メンテを信じたことも全て間違いだった。俺の今までの治世は間違っていた。ミーシャ皇后とメンテ宰相の処刑命令を持って、皇位を退く」
「陛下、陛下!私を!私を殺すんですの!?あんなに愛したのに!私を処刑できるんですの!?私が死ねば、魂のつながる貴方もただでは済まないのですよ!!」
ミーシャの必死な顔にユイフトは冷たく言う
「それも俺の罪だ、そしてお前を本当に愛したことなどない、これを地下牢に」
それだけ言ってユイフトはメンテの方に向かう、愛していなかったその信じられない言葉にミーシャは取り乱す。
「私が愛されないはずないじゃない・・・・私はお母様とは違う、私が愛されないはずないじゃない!!!私は愛されるべき女なのよ!!!」
わめくミーシャを兵士たちが地下牢に連れて行く、
兵士につかまり、膝まづかされているメンテ宰相に問う
「お前は全て知っていたのか」
メンテは力なく言う
「ミーシャの事は知りませんでした。ですが私は貴方を操る感覚に酔い、力を求め、ミーシャを利用したのは事実です、国母の父と言う地位を欲張ったために、私はドラニルワークの策略にはまったようです、パストル殿下を殺害しようとしたのは事実、しかるべき裁きを受けましょう」
ユイフトはメンテの肩に手を置く
「お前は右も左もわからない俺をずっと導いてくれた。それが間違っていたようだがお前が俺の父のような存在だったことは事実だ、お前の家族は爵位没収はするが悪いようにはしない」
「寛大なお心、ありがとうございます」
そして、ユイフトはルパペストを見る
「ルパペスト・・・・・」
「父上、貴方が私をよく似ている、皇帝に向かないと思っていることは知っていました。そして私もそう思っています、私に皇帝と言う地位は向いていないわかっていても母の願い、祖父の願いを裏切ることは出来ませんでした。でも私はただ絵が描ければよかったんです、でも父があなただから、母があの人だから、僕にそんな未来は望めなかった」
「ルパペスト・・・・・」
ユイフトはその心内を思う、自分は兄たちを支えていける剣士になりたかった。けれどそれはかなわず、大嫌いな勉強で皇帝らしくしなければいけなかった。
ルパペストは自分とは違って剣ではなく筆をとっていた。
穏やかな子で、笑顔の優しい子、その笑顔が何だか作ったように見えるようになったのはいつだったか、
「兄上、僕は貴方が皇帝で、私が公爵家で絵を描きながら生活できればよかった、アクセラとカトリアナとミライザとワイヤークと兄さんとそしてニルバーナと楽しく過ごす姿を描いて残していく、穏やかな日々がよかった。」
そのルパペストの辛い声にパストルは顔をしかめて言う
「お前が弟である限りそれは無理だとわかるだろ」
その言葉にルパペストは叫ぶ
「わかってるよ!!」
ルパペストは叫ぶ
「それでも幼い時は仲良くしていたのに、アマンダ様が死んだあと、全員がニルバーナ以外僕を見捨てた!僕は何も知らなかったのに!僕を仲間にって誰も考えなかった!突然全員から無視され、ニルバーナだけが僕とみんなの間に居た!何も知らない僕はどれだけ傷付いたか!しかもニルバーナまで奪おうとしてきた!ニルバーナがどうにかカルミア公爵を説得して側にいてくれたから一人にはならなかったけど、僕は!!ミーシャ皇后の息子と言うだけで全て取り上げられた!!家族愛も友情も自由な未来も!!こんな惨めな思いをし続けて母さんの道ずれなんてごめんだ!!僕はもう一人のひいお爺さんの所に行く」
そう言って半獣化しルパペストは羽根を広げる
「ルパペスト!!」
パストルが叫ぶ
「だめよ、ルパペスト!メイカ様!メイカ様助けて!!」
ニルバーナは明香に手を伸ばし明香はアンディーの腕をつかみ、投げ飛ばし、手錠を壊し、ニルバーナに駆け寄るも、ルパペストはニルバーナを抱えなおし
「来るな!ニールも殺して俺も死ぬぞ!」
「ルパペスト!!止めなさい!」
明香がそう言えばルパペストは嘲笑うように言う
「貴方は真っすぐすぎる」
そう言いながらルパペストは飛び立った。
もちろん飛翔系の騎士達は後を追ったがルパペストの飛行速度はものすごく早く、間に合うことなくドラニルワークに逃げ込まれた。
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