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リザベルトとちょっとエッチなことをしてしまった次の日。
校舎に入ると、ラリックが走ってきておはようと言って俺の肩を叩いた。
「おめでとう、付き合うことになったんだね」
振り返った俺を見て、ラリックは少し目を開いて驚いた顔をした後、手を叩いてきた。
昨日の今日で、なぜ知っているのかと不思議に思っていたら、ラリックはクスクスと笑ってきた。
「だってさ、セイジュの体から、リザベルトのフェロモン臭がすごいよ。いわゆるマーキングってやつ。一番強烈なのは体液を直接浴びることだから、まぁ、付き合ったんだよね。あ、シャワーくらいじゃ取れないよ」
「えっえっ、そっ、そんなに!? って、あの……ええと……」
「リザベルトのこと、セイジュも嫌そうではなかったから、時間の問題だとは思っていたけど。まぁ、これでその辺のオメガやアルファは近寄ってこないよ」
辺りを見回すといつも敵意のある目で見てくる他のクラスの生徒達が、怯えた目をしていて、目が合うとヒィィと声を上げて逃げて行った。
まるでお化けにでもなった気分だった。
「仲良くするのも、ほどほどにな」
いつだったか同じ台詞を言われて軽く聞き流していたが、まさかこの展開が予想されていたかのように思えて驚いてしまった。
顔が熱くなってしまい、どう返そうかぐるぐる考えていたら、後ろから腕が回ってきてガバッと抱きしめられた。
こんなことをするのは、リザベルトしかいない。
「ラリック、変な気は起こすなよ」
「もう嫉妬してんの? 匂いが濃過ぎてもはやセイジュがリザベルトにしか見えない。無理無理、変な気が起こるわけない」
両手を上げて勘弁してくれと言い残したラリックは、ニヤニヤ笑いながら先に走って行ってしまった。
「俺の匂いを纏っていれば、誰も文句は言ってこないだろう。他のクラスのヤツらも、教師も。そう難しく考えるな。番犬に守られているくらいに思っておけ」
耳元に息を吹きかけられて、変な声を上げそうになった。いちおう付き合い出したわけだが、朝からこんなにイチャイチャするのが許されるのか、慌てて周りを見たが、みんな一切こちらを見ないようにして足早に通り過ぎていた。
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