愛され生活はまだこれから…(後編)

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 いつも寝つきはいい方で、ベッドに転がるとものの数秒で眠ってしまう。  それなのに、今日はやけに目が冴えてしまった。  学校で起きたやっかいなことが色々と思い浮かんでくる。  それに、ラリックが言っていた、リザベルトが不眠症だという話も気になっていた。 「ん……セイジュ」  突然リザベルトに名前を呼ばれたので、ドキッとしてしまった。  起きていたのかと思ったら、寝返りを打って仰向けになったリザベルトは、目を閉じたままだった。  どうやら寝言だったらしい……。 「俺の夢を見てるのかよ……」  リザベルトは布団を足で蹴ったようで、布団が半分ベットから落ちていた。  俺は上半身を起こして、リザベルトの方に体を向けた。 「ん?」  リザベルトは再び俺の名前を呼んだ。  月明かりだけの部屋でよく目を凝らしてみると、仰向けになっているリザベルトの下半身が山のように盛り上がっていた。  思わず声を上げそうになるくらい、大きなテントが張っていて、俺は口を手で押さえて驚いてしまった。  さっきまで布団を直してやろうと思っていたのに、しばらく悩んだ後、俺はまた横になって布団に潜り込んだ。  見なかったことにしよう。  そう決定して、若気の至り、生理的な現象ということで頭の中で処理することにした。  それからしばらく、寝よう寝ようと思っていても、寝入り端にさっきのテントが頭の中で襲ってきて、息を吸いながら目が覚めてしまった。  どうしようかと思っていたら、ギシギシとベッドが軋む音がして、リザベルトが起きた気配がした。  ギギっと床を踏む音が聞こえて、背中を向けて寝ている俺のすぐ後ろに気配がした。  首の後ろくらいに息遣いを感じて、すぅぅーっと深呼吸レベルで息を吸い込む音がした。  まるで掃除機のように匂いを嗅がれる感覚がしたら、ゴソゴソと音がして何かを擦るような音と、はぁはぁという息遣いの音が聞こえたきた。  これはもう……明らかにリザベルトが自分を慰めているとしか思えない。 「くっ……セイジュ……」  しかも俺の匂いを嗅ぎながら、擦っている。  こんな大胆なこと、慣れた感じでやっているので、もしかしたら初めてではないなと感じ取った。  寝ている俺の匂いを嗅ぎながら自慰に耽るなんて信じられない。  普段の俺なら寒気がして、やめろと怒っていたはずだ。
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