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「だいたい、スクールってやつは、アルファとオメガに分かれているだろう? そもそもベータの受け入れなんてしていないじゃないか」
ベータが突然変異でしか生まれなくなってから、教育制度も大きく変わった。
基本、アルファとオメガは別々の学校で学ぶことになっていて、全員共学になるのは専門課程のカレッジに入ってからだった。
だからセイジュもカレッジ入学を目指して、義務教育課程のテストを受けていた。
そっちはゆるくやっているので、後しばらくはゆっくりしようと思っていたところだった。
「一校だけあるのよ。地球国首都のブルートーキョー、そこにある国立養成高校という名前の、……まぁ、とにかく富裕層でないとなかなか入れない学校があってね、そこはバース性は関係なく、誰でも入学できるんですって。ここを卒業したら、他の星にも自由に行けるし、カレッジだって選びたい放題で無償で行けるのよ」
「そう言ったって……、ミラ。うちにお金なんてないだろう。稼いだ金は、このオンボロキャンピングカーを動かすエネルギー代で消えて、毎月カツカツなのに……何が富裕層だよ」
「それが驚かないで、先月買った宇宙くじが大当たりしたのよ! 一等賞金一億アース」
「………は?」
「ちょうど、紹介なしでの入学金は、一億アースだったの! こんな偶然ある? さっき言ったじゃない、もう入金済みだって。喜んで入金しちゃった!」
「え……それ……冗談、だよな?」
いつも夢見がちで。歳を取っても少女みたいなところがあるミラだが、まさかそんなバカなことをしないだろうと俺は信じられなかった。
だって一億アースといえば、一般人が一生働いても稼げないくらいの大金だ。
それを一括でぽんと支払うなんて……
「本当のことだよ。ミラも私も、セイジュには色々経験をしてもらいたいんだ。この暮らしも楽しいけど、もっと他の世界にも目を向けるべきだって、二人で話し合った。セイジュの人生はこれからうんと長いんだから」
アリッサがポンと肩を叩いてきて、これは本当の話なんだと理解して、俺は震えてしまった。
「なっ、何やってんだよ! 今からでもキャンセルできないのか? 俺はベータだよ。そんな価値ないって!」
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