匂い惚れから始まる愛され生活は……(前編)

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 学校は七歳から初等部、十三歳から中等部と決まっている。  高等部にあたる高校は、地球にいるほぼ全てのオメガとアルファが通っていた。  高校は十八歳までで、その後希望者はカレッジへ進む。  カレッジへ進むには俺のようにホームスクーリングでも可能だが、かなり狭き門だ。  選ぶとしてもまともな選択肢がないので、今回の話はかなりありがたいものだった。  スクールは一学期から三学期まであって、すでに一年の入学式が行われていた。  俺は辞退者枠から選ばれた、というか買い取った途中入学者だ。  いわゆる転校生みたいな感じで、すでにできているクラスの輪に入っていくことになる。  学校自体初めてなのに、勉強に付いていけるのか、輪に馴染めるのか、かなりハードルの高い状況だった。  ブルートーキョーの中心地に国立学校は建っていた。古き良きレンガを使用したレトロな建物を再現して造られたらしい。  ガラス張りの高層ビルが一般的な今の世界では、かなり珍しい造りの建物だった。  校門でモニターの許可証を表示させたら、中に入ることができた。  ちなみに不法侵入は、高電圧銃で撃たれて即死だと聞いたので、まさかここへ来て拒否されないかなと心配でならなかった。 「ようこそ、国立養成学校へ。セイジュ・アガサ、学籍番号は281、Cクラスです」  誰一人歩いていない校内を進んでいると、案内型のアンドロイドが現れた。  人間の形を模しているが、顔は真っ白なので遠目でも分かりやすかった。  俺はアンドロイドの後ろに付いて歩き出した。 「現在朝のホームルーム中のため、生徒はクラスに入っております。クラスは三学年とも特A、B、Cクラスに別れていて、家柄や家族の資産形成、学校への寄付金、貢献度などから総合的に判断されて分けられます」 「ええと……、この学校はバース性は関係なく入学できるんですよね。クラスもそんな感じですか?」 「入学審査にバース性は関係ありませんが、クラス分けには影響しています。特別クラスはほとんどがアルファ、Bクラスは半々、Cクラスはほぼオメガとなっています」  そう説明されたらなるほどと思ってしまった。  社会の特権階級であるアルファ達は上位クラス、オメガはその下という位置付けになっていた。
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