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ポンと入学金は出したが、その後の寄付などは期待できない平凡な家柄の俺は、間違いなくCクラスだなと頷いてしまうほどだった。
しかしその方がありがたい。
周りがオメガだけなら、学習面の能力では近いものがあるので、一人置いて行かれるとか厳しい状況にはならないだろうとホッとした。
一年クラスの廊下を進んでいると、別のアンドロイドがやって来て、俺の案内をしているアンドロイドを止めた。
「データを転送しています」
「受け取りました。了解です。セイジュ・アガサの所属クラスを変更します」
「えっ!?」
オメガの生徒達相手に、どう自己紹介しようかと頭でぐるぐる考えていたのに、急に変更だと言われて驚いてしまった。
「セイジュの母親、アリッサ氏はレッド財閥の出身です。レッド財閥からは本校の経営にも多額の寄付金をいただいています。血縁者がCクラスに入る許可が出ませんでした。調査が遅れてしまい申し訳ございません。特Aクラスに変更となります」
ポカンと口を開けたまま塞がらなくなってしまった。
確かにアリッサは良い所のお嬢様だったとミラから聞いていたが、そんな大財閥の令嬢だったなんて聞いていなかった。
確かお互い好きになったけど反対されて、二人で家出をしたと聞いていた。
両親は家族一緒にいられれば、住むところはどこでもいいと言うのが口癖だった。
こんなところで母親の出生を知ってしまったのは驚きだが、クラスを聞いて間違いじゃないのかとアンドロイドを二度見してしまった。
「あ、あの……その財閥、とかはよく分からなくて……全く関わりはないですし……別にCでもいい、というかCの方が気持ち的に楽で……」
「特Aクラスへご案内します、セイジュ様」
今まで呼び捨てだったのに、急に様を付け出したので、顔が引き攣ってしまった。
しかも反論は一切無視されて、さっさと歩いていくので、嫌だなとため息をついた俺は一気に気分が重くなってしまった。
どう考えても酷い扱いを受けるに決まっている。
平凡で地味な男なんて、アルファからしたら、道に転がっている石ころのように使えない存在だ。
その辺の川にでも投げられてしまうかもしれない。
クラスのドアを開ける前から俺は震えていた。
最悪な学校生活を想像して倒れそうだった。
しかし
現実は………
全く違うものだった。
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