わたしとあなたのおいかけっこ

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 それから、水曜に残業と嘘をついて、その美人秘書と浮気しているのも知っているわ。  だーかーら、今日のお弁当はどうしても食べて欲しかったの。  たっぷり、愛情と下剤を練りこんだハンバーグがメインだったから。  おなかがピーピーじゃ、浮気どころじゃないでしょ?  わたしはおでこの汗を手の甲で拭った。  電動アシストは楽だけど、やっぱり車のほうが早いし楽だわ。  私のアウディをせしめる口実に、この自転車を買ってくれたけど。  でもね、あまり、調子に乗って忘れないほうがいい。  あなたの今のその役職は、わたしと結婚したおかげだってこと。  あと気づいていないけど、車とバッグに仕込んだGPSで、あなたがどこにいるのかは、常に家のパソコンから監視できているの。  それがわたしの毎日のた・の・し・み☆  それと、インターネットで検索して「味がしない下剤」を探すこともできたけど、それだけじゃない。「味がしない毒薬」を探すことだってできるのよ。  できれば、その「最後の手段」はとらせてほしくないなって、祈ってる。  これまでずっと、追いかけているのはわたしばかりと思っているでしょうけど、あなたがヘコヘコとわたしを追いかける日もそう遠くないわね!  わたしは自転車のペダルをぐんと踏み込んで、さらにスピードをあげた。 ―お・わ・り―
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