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その道は、蛇道と呼ばれていた。
マムシが出るという噂だった。
マムシとは言わずと知れた毒蛇だ。
その道を通る時、僕は、マムシに噛まれたらどうしよう、と怯えながら歩いた。
蛇道の脇には、腰ほどもある雑草が生い茂っている。おまけに道の東側は、鬱蒼とした雑木林になっており、その影が差して、道は常に薄暗かった。
道幅も、三十センチあるかないかで、非常に狭い。
覆いかぶさるような雑草と暗がりのせいで、足元の様子は非常に分かりにくかった。
いかにも草陰からマムシが跳び出してきそうな雰囲気だった。
また、雨など降ろうものなら、舗装されていない土の道はぬかるみ、数日はじめじめとしていて、マムシが好みそうな場所になった。
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