蛇道

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 カサッ  草擦れの音が聞こえると、心臓が止まりそうになった。  怖くなんかない、と強がっていた気持ちなど簡単に折れてしまう。  僕は歩くのをやめて、一気にダッシュで駆け抜けた。  それも、出来るだけマムシに噛まれる確率を下げる為に、足が地面に着く回数を極力減らした大跳びの走りで。  名付けて、蛇道走り。  夕方の黄昏時の蛇道は、やばさを増す。  まず、真っ赤に染まった西の空が、血の色を連想させて僕を不安な気持ちにさせる。  さらに、沈みゆく夕日は、物理的な光量を下げ、分かりにくかった足元の様子を、ますます分かりにくいものにしていた。  そんな時は、僕は、迷わず始めから使った。  蛇道走りを。
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