僕はもう知っていた

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僕はもう知っていた

 課題の提出日の放課後。廊下に課題の絵が並ぶ。その中の一枚の中に自分の絵を見つける。僕はもうこの絵を知っていた。ずっと前から。  その絵のタイトルは「自分」  両手で作った四角に収まるじゃれる二匹の猫が白い紙に書かれている。その絵は自由帳の最初の絵とは違って、輪郭がはっきりとした二匹の猫の絵だった。自由帳の最初の絵とは似つかぬ絵に、過去の自分と今の自分を見つける。  また会えた。  そう思って、僕は歩き出した。
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