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2 出会い
私はロイヤルスイートのリビングを見回す。
と言ってもロイヤルスイートにはリビングが2つある。
そして、寝室が3つに、トイレ・バスが2つずつ。
さらに、このロイヤルスイートルームはオープンロイヤルスイートと呼ばれ、造りはリゾート風だ。
その為バルコニーにはプライベートプールが付いており、その脇には簡単なバーが設置されている。
バーテンダーを呼び、プールパーティーも開ける仕組みだ。
私はロイヤルスイートのリビング2つを見て回ったが、人影は無し。
流石にコンシェルジュと言えど、寝室までは見る事はできない。
1分以内に来いと言われて、急いで来たのにこの有様だ。
どうしようか?と戸惑っていた時…
「…アンタが琴宮さん?」
そう呼ぶ声がした。
振り返ると、そこにはバスローブ姿の超イケメンが居た。
髪からは水が滴り、顔は少し上気している。
お風呂後だという事がすぐ分かった。
バスローブは少し着崩れ、綺麗な胸筋が見え隠れする。
私は、しかし、今は仕事モードであり、そんな事くらいで目を逸らす事はしなかった。
「初めまして、コンシェルジュの琴宮でございます。」
ビジネスモードのにこやかな笑顔でそう言った。
「あっそ。
コンシェルジュなら、もちろん俺の要望に応えてくれるよなぁ?」
ニヤリと笑って言う彼。
「はい、もちろんです。
何なりとお申し付けください。」
私のビジネスモードはどんなイケメンでも壊れない。
そう思っていたが…
「髪乾かして。」
「は…?」
え、今何と?
髪乾かして?
「何回も言わせんなよ。
ドライヤーかけてって言ってんの。
アンタ、俺のコンシェルジュなんでしょ?」
「で、で、ですが、お客様…
お客様の身体に触れるような行為は基本的には…」
私は流石に戸惑いを隠せない。
「そんなの俺が良いって言ってんるんだから、問題ないだろ。
このホテルのオーナーの俺がね。」
え…?
今、なんて…?
このホテルのオーナー!?!?
じゃ、じゃ、じゃあ、彼は…
ホテル王の天羽萬里様!?
「早く。
俺が風邪引いたら責任取れるの?
1日で5億は稼いでるはずだけど、俺。」
天羽様は言う。
「ド、ド、ドライヤーをお持ちします!」
私は急いでドライヤーをバスルームの洗面室から取ってきた。
彼はすでに長いソファに腰掛けている。
「し、失礼致します。
ドライヤーをお当てしますね。」
私はドライヤーのスイッチを入れ、彼の濡れた髪に触った。
彼の髪の毛は猫っ毛の癖毛のようだ。
癖が目立たないように慎重にドライヤーをかけた。
「琴宮、お前ドライヤー上手いな。」
お褒めの言葉をいただいたが、天羽様の胸筋が見えすぎているのが、どうも気になる。
やはり私も女である。
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