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31 愛月温泉
そんなこんなで、愛月温泉の旅館に着き、私たちは浴衣に着替えてお土産街を散策する事にした。
浴衣は旅館のサービスで、選んで着付けてもらえるようになっており、私と天羽オーナーは浴衣を選んだ。
「じゃ、私この紺色の浴衣で…」
私が紺色に虹色のトンボ柄の浴衣を選ぼうとした時、天羽オーナーが言った。
「また紺色か…?
制服がいつも紺色なんだから、たまには違う色を着ろよ。」
「そう言われましても…」
「これはどうだ?」
天羽オーナーが選んだのは、ベージュの布地に赤や朱色、黄色のボタンの花が入った可愛いらしいものだった。
「うーん、私には可愛い過ぎませんかね?」
私は言う。
「か、か、可愛いんだから…」
「えっ…?」
「い、いや、浴衣がだ!」
「はぁ…?」
よく分からないが、うるさそうなので、天羽オーナーが選んだ浴衣を着てみた。
うん、悪く無いかも?
花柄のタイトワンピースと言い、この浴衣といい、女性の物を選ぶセンスはあるようだ。
「俺は、じゃあ、若草色のコイツにするか。」
天羽オーナーも着付けに入る。
出てくると、天羽オーナーは完璧にカッコよかった。
もぅ!
外見だけはパーフェクトなんだから…!
「よぅし!
お土産街に繰り出すぞ。」
「はーい。」
私もなんだかんだでお土産街は楽しみである。
お土産屋さんには愛月温泉特製の風呂敷や傘、ポーチやお箸、キーホルダーなど、心踊る物がたくさんあった。
「んー…」
「どうした?」
「この赤にうさぎの模様の和傘買いたいけど、1万円もするんです…
これを取って、他の物を諦めるか…
それとも…」
私は真剣に悩みながら言う。
「買えよ…
1万円くらい…」
天羽オーナーは呆れている。
「天羽オーナーみたいにお金がじゃぶじゃぶある訳じゃ無いんですよ?」
私。
「しかし、お前コンシェルジュだろ?
それなりに良い給料貰ってるはずだぞ?」
天羽オーナー。
それはそうだが、傘に1万円は…
「おい、店の主人!
この傘青と赤くれ!」
天羽オーナーは言う。
「天羽オーナー、やめてくださいよ!
私の分まで…!」
天羽オーナーに買ってもらうのは何となく嫌だった。
「何言ってるんだ?
俺のとお前のを、琴宮が奢るんだろ?」
いたずらっ子のように笑って天羽オーナーが言う。
「はぁぁぁぁ!?
2万円ですよ!?」
「サンキュー琴宮!」
天羽オーナーは嬉しそうに傘を受け取った。
「和傘って俺初めてなんだよ!
おぉ、渋いな!」
そう笑顔で言う天羽オーナーに、私は2万円を払うしかなかった…
トホホ…
そんなこんなで旅館の部屋に戻ると…
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