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3 やってしまった…
ドライヤーをかけ終わり、洗面室に持って行った。
リビングに戻ると、天羽様のバスローブはさらにはだけていた。
「天羽様、バスローブが着崩れているようなので、直された方がよろしいかと…」
私はつい余計な事を言ってしまう。
「じゃあ、直してくれる?
コンシェルジュさん?」
「いえ、ですから、お客様の身体に触れる行為は禁止されておりますので。」
私はきっちりと手を前で合わせて、ピシャリとそう言った。
「分かった。」
天羽様は言い、バスローブを直した。
ホッとする私。
だが、次の瞬間…!
彼は私の元へやってきたかと思うと、私を抱き上げ、ソファベッドに押し倒した。
「な、な、な!?
何をされて!?」
パニくる私に、天羽様はバスローブの紐を完全に解いた。
バスローブははらりと落ちた。
そして、さらに天羽様は上に覆い被さり身体を密着させてくる。
ギャァァァァァ!
心の中で叫ぶ私、色んなモノが私の身体に密着しているのだ。
「今までのコンシェルジュはさ、どんな要望にも応えてくれたんだよね。
もし、俺の要望に応えられなければ、琴宮ちゃんの評価、下がっちゃうんじゃない?」
天羽様は言う。
「し、し、身体的なご要望には応えかねます!」
「つまり、君は俺の要望にノーと言う訳だね?
コンシェルジュの分際で?」
「分際…?
その言葉全てのコンシェルジュに対する侮辱です。
訂正してください。」
私は天羽様を睨みつける。
そして、次の瞬間…!
彼を平手打ちした。
やってしまった…!
「イッテェ…な…!」
彼が少し私から離れた瞬間に、私はソファベッドから飛び降り、オープンロイヤルスイートルームからダッシュで逃げていった。
コンシェルジュとしての振る舞いや礼儀からはかけ離れた行為だったが、向こうが超セクハラなのでどうしようも無かったのだ。
私はエレベーターに乗り、声を出さずに泣いた。
悔しい…!
あんな男に…!
コンシェルジュとして馬鹿にされるなんて…!
コンシェルジュルームに戻ると、運がいい事に誰も居なかった。
私は多分20分ほど、呆然としていた。
ロイヤルスイートルームを任されて、5分ほどで大問題を起こしてしまったのだ。
落ち込まないはずがない。
相手はオーナーだ。
最悪クビにされるだろう。
すると、30分後に青葉チーフがコンシェルジュルームに戻ってきた。
「あぁ、琴宮、天羽様が良いコンシェルジュだったと褒めていたぞ。
これからも、頼むよ。」
青葉チーフからの信じられない言葉を聞いてまたパニックになる私。
青葉チーフが戻ってきたら、ロイヤルスイートルームの担当から外して下さい、と頼もうと思っていたのだ。
なのに…
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