図書室から

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「どっちかというと、ゲームのキャラより自分を育成する方が楽しいのかも。一冊読んで、ちょっと考えるだろ。そしたら、ちょっとだけ「進んだ」気になるんだよね。RPGで言ったら、次の町に進んだ、みたいな」 「あ、分かるかも。自分の中の地図が、ちょっと広がった感覚?」 「あー、そうそう。そんな感じ」  目を細めて笑い合う。こういう分かり合い方ってなかなかないから、格別にうれしい。私たちだけの「あるある」、見つかった感じ。恋でも友情でもなく、ただただ    本が好きである    それだけで、つながれた喜び。  本の話をする友だちはほかにもいたけど、湊人くんの本好きには誰もかなわなかった。だから湊人くんとする会話は、誰よりもわくわくした。 「なぁ。もっといっぱい借りる方法ってないの」  ある日、湊人くんがそう聞いてきたことがあった。 「え? だめだめ。一人五冊までだよ」 「えー。足んないんだけど、五冊だけじゃ」 「じゃあ、すぐ返しに来たらいいでしょ」 「うん……いやあの、ちょっと。しばらく学校休むからさ」 「え? 何で?」 「入院するから」
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