図書室から

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 返却期限が過ぎていることを知って、私は湊人くんにリマインダーとなるメッセージを送った。 「ついに、読むものなくなったの?」  すると、 「ごめん。病院に置いてあるやつ読んでる」  と、返ってきた。 「病院に本があるの?」 「うん。知らなかったけど、結構あるんだ」 「学校の本、取りに行っていいかな」 「ごめん。悪いけどお願い」  病室で湊人くんを見た時、私は変な顔になってしまったと思う。  湊人くんは、前よりもちょっと痩せていた。  それに、髪がない。寺の僧みたいに、つるつるになっていた。 「……えっと」  言葉が見つからない。  そんな私を見てとってか、 「ヒマだから剃ってみた」  と、湊人くんも訳が分からなかった。 「あ、でもおれ、今度退院するんだ」 「え、ほんと?」 「うん。一旦、何日かだけど」 「そっか。それは、よかった」 「本、ありがと」  と、五冊の本を渡しながら、 「また会えてよかった」  と、湊人くんは小さな声で言った。  調べれば調べるほど、ネットは不穏な方向へ私を追い込んでいく。毛が抜ける。難病。治療方法。治癒の可能性。
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