始まり

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-ルシリール城- 「よくぞ集まってくれた、ルシリールの勇敢な兵士達よ。君達に集まってもらったのは他でも無い。今日はルシリールにとって特別な一日である事は君達も存じている事と思う。そしてこのルシリールにとって重要な儀式があるのは君達も分かっていよう。そう…契約の儀式だ!」 契約の儀式…マーゼリおばさんが言っていた感情が無い女の子との契約か… ここにいる兵士達はその事を知っているのだろうか? 「今回の契約の儀式のやり方を変えさせてもらった。君達と契約を交わす為の女子(おなご)はこちらで用意させていただいた。この女子と無事契約を交わせた者は習わしの通り、共に世界を巡り、このルシリールに帰還出来た暁には、二人に永遠の愛が約束されよう。さぁ、君達の中の誰かと契約を交わす女子を紹介しよう。大臣よ」 「はっ!ただちに!」 …玉座に連れてこられた少女は俺の想像を遥かに超えていた。銀色のふわっとしたショートヘアーに澄んだ緑色の目… きっと神様の落とし物というのはあのような子を言うのだろうと俺は思った その反面、マーゼリおばさんが言っていたまるで人形だという言葉にも納得がいった… 彼女は生きているのかも分からないくらい白い肌で、おばさんが言っていた感情が無いというのも分かるくらい表情が変わらない 瞬きはしているのだが…彼女には生気が無い 「この少女はとある富豪の娘でな、世界を知る為に是非この儀式に参加させてくれと頼まれた子なのだ。無事世界を回りこのルシリールへ帰還出来れば莫大な富を約束すると言っていた。これは君達にとっても大きなチャンスと言えよう」 王の言葉に俺は納得がいかなかった… あの状態の少女に世界を回るなんて絶対に無理だ…! まるで要らなくなったからこっちで処分してくれと言ってる様だ。莫大な富も世界を巡らせる上で契約者を消す為の口実だろう… 親の都合で捨てられるあの子の事を思うと俺は無性に腹が立ってきた…!何が莫大な富だ!娘より金の方が大事なのか⁉︎ふざけるな‼︎ …だけど俺に何が出来る…?彼女を救うには契約の儀式で選ばれなければならない… 俺は諦めるしかないのか…? 「……」
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